◆ドキュメント・楽しく爽やかな新作CMのカゲで…

消臭力の新作CMが完成した。石畳の街並を駆け抜ける西川貴教さん、さくらまやさん、ミゲルくん。思わず口ずさみたくなる軽快なCMソング。そして、3人が刻む楽しげなステップ。
明るい未来を感じさせる爽やかなCMである。

CMのロケ地はポルトガルのリスボン。2日間に渡って行われた撮影は、笑い声の絶えない楽しい現場だったという。

しかし!

その裏側で、特命宣伝部長の高田鳥場こと鹿毛康司さんは壮絶な戦いを繰り広げていた。何と戦っていたのか?

その相手は「腰痛」である。

なんだ腰痛か、という声が聞こえてきそうであるが、腰痛を軽く考えてもらっては困る。これを書いている僕も20年来腰痛と戦ってきているから良く分かる。腰痛が悪化した時の苦労について、次のような記事を書いたことがあるので、腰痛以外の人には是非読んでいただきたい。
(腰痛マーク http://warapappa.jp/archives/1522929.html

特命宣伝部長の鹿毛さんは、ロケに旅立つ前から腰痛の悪化を感じていた。しかし、鹿毛さんはCM制作の総責任者である。

「腰が痛くて行けないからさ、ちょっとポルトガルまで行って撮ってきてよ。スカイプで映像見せてもらえればチェック出来るし」

という訳にはいかないのだ。
出発前、鹿毛さんは都内の病院に行き、腰痛をなんとかしてもらおうとしている。

その証拠写真がこれだ。
消臭力CM撮影風景1_都内の病院にて

都内の病院にて

これから診察を受ける前なのだろう。口元にその苦痛がにじみ出ている。

痛みを物語るレントゲン写真もある。
消臭力CM撮影風景2_鹿毛さんの腰椎

鹿毛さんの腰椎


上の写真で赤い丸で囲った部分、ここが腰痛の原因である。腰椎と腰椎のクッション代わりとなる軟骨(写真の白い部分)がへしゃげているのが分かる。これが神経を刺激して痛みとなっているのだ。鹿毛さんの場合、ヘルニアが2カ所もある。

こんな状態でポルトガルまで飛行機で向かおうというのだ。フライト時間は約16時間。ヘルニア持ちにとって、長時間の同一姿勢は一番良くない。痛みのせいで体が固まってしまい、背筋をまっすぐに保つことが出来なくなるのだ。僕が医者だったら止めると思うし、僕が鹿毛さんだったらスカイプでなんとかならないか検討すると思う。

それでも鹿毛さんはポルトガルまで飛んだ。

その結果がこれだ。

消臭力CM撮影風景3_マドリードの空港にて

マドリードの空港にて

ポルトガルの前にスペインに立ち寄った時の一枚である。

背筋がくの字に曲がっているのが分かる。決してやる気がない訳ではない。これ以上背筋を伸ばすことが出来ないのだ。腰痛持ちには痛いほど分かる。

さらに買い物カーゴのようなものを押しているが、これはカーゴではなく介護用の歩行補助器である。パリでのトランジットも含め約16時間のフライトを終えスペインに到着した鹿毛さんは、空港からスペインの介護用品店に直行したのだという。ロケスタッフと西川貴教さんと一緒に。



消臭力CM撮影風景4_大型観光バスがお迎えにきた

大型観光バスがお迎えにきた

その時、現地のコーディネーターさんがバスの手配を間違えたらしく、鹿毛さん一行5名に対して大型観光バスが迎えに来たのだ。

自分が腰痛でどうにもならない時、なるべく息を潜めて生きていたいと思う。自分の腰痛が原因で周囲に迷惑をかけたくないのだ。

空港から介護用品店に向かう鹿毛さんも、きっと同じ気持ちだっただろう。しかし、そんな気持ちを逆なでする大型観光バスである。必要以上に目立っている。しかも、中にはスターも乗っているのだ。

東京に戻って来た鹿毛さんからその時の心境をうかがうと、

「西川さんが本当に優しくて、空港で僕の荷物を持ってくれたり、歩みが遅い僕をいつも待ってくれていたり」

とその時のことを振り返っていた。

スターが腰痛を気遣ってくれたのだ。なんて贅沢なんだろう。一瞬、羨ましくも思ったが、多分、羨ましさを超えるくらいの「申し訳なさ」が伴ったことと想像する。

消臭力CM撮影風景5_サグラダ・ファミリアから

サグラダ・ファミリアから

バルセロナ市内の介護用品店で歩行補助器を購入した鹿毛さんは、サグラダ・ファミリアに向かった。

ここで、鹿毛さんの椎間板ヘルニアは限界を迎える。

この写真を撮影したポイントまで、階段→エレベーター→階段、というルートを辿ったからである。
ここでもう一度レントゲン写真を見ていただきたい。

消臭力CM撮影風景2_鹿毛さんの腰椎

鹿毛さんの腰椎

このように、2カ所もヘルニアになっているのだ。階段の上り下りなんて御法度である。

サグラダ・ファミリアに上った結果、鹿毛さんの椎間板ヘルニアは悪化の一途を辿ることとなる。

消臭力CM撮影風景6_撮影初日の鹿毛さん

撮影初日の鹿毛さん

リスボンでの撮影初日、鹿毛さんはこのような姿になった。

腰痛が悪化すると車椅子が一番なのである。僕も過去3回の入院時は、毎回車椅子で院内を移動していた。電動の車椅子を器用に操っていたら、婦長さんから「あなた、筋がいいわね」と褒められた経験もある。

しかし、聞くところによるとリスボンの街は石畳が普通なのだという。たとえ車椅子に乗っていたとしても、石畳のガタガタは椎間板ヘルニアに悪影響を及ぼす。

それでも鹿毛さんの「楽しいCMを作りたい」という意思は強かった。介護用歩行補助器を押し、車椅子に乗って、西川さん、さくらさん、ミゲルくんの演技を見守った。



消臭力CM撮影風景7_映像を確認する鹿毛さんと制作プロデューサー

映像を確認する鹿毛さんと制作プロデューサー



消臭力CM撮影風景8_出演者の3人

出演者の3人

撮影は2日目に入り、一行はリスボンから車で2時間半、モンサラーシュへ移動した。

企画の段階で、候補に上がったカットがあったという。

消臭力CM撮影風景9_ロケの候補地

ロケの候補地

闘技場を見下ろす古い塔。この上に出演者3人が立って消臭力の歌を歌う。
当初はそのような企画案もあったらしいのだが、安全性の問題から却下されたという。

この塔の上からモンサラーシュの街をのぞむと、このような景色が広がっている。

消臭力CM撮影風景10_出演者の3人

モンサラーシュの街をのぞむ

鹿毛さんはこの景色を見ていない。

腰痛でここまで登ることが出来なかったのだ。

腰が悪くなかったら、このようにモンサラーシュの街を見下ろすことが出来たのだ。

消臭力CM撮影風景11_モンサラーシュの街を見下ろすCMプランナーと制作プロデューサー

モンサラーシュの街を見下ろすCMプランナーと制作プロデューサー



消臭力CM撮影風景12_無茶な立ち方をする現地のスタッフ

無茶な立ち方をする現地のスタッフ



腰痛が悪化する一方の鹿毛さんを尻目に、撮影は順調に進んでいく。

消臭力CM撮影風景13_鹿毛さん

鹿毛さん



消臭力CM撮影風景14_スタッフに運ばれる歩行補助器

スタッフに運ばれる歩行補助器



消臭力CM撮影風景15_腰痛持ちには克服出来ない坂道

腰痛持ちには克服出来ない坂道



消臭力CM撮影風景16_元気いっぱいのさくらさん

元気いっぱいのさくらさん



消臭力CM撮影風景17_ミゲルくんと西川さんも元気はつらつ

ミゲルくんと西川さんも元気はつらつ



消臭力CM撮影風景18_走る演技指導を受ける西川さんとそれを見守る走れない鹿毛さん

走る演技指導を受ける西川さんとそれを見守る走れない鹿毛さん



撮影2日目の最終カットは西川さんの歌唱シーンだった。

消臭力CM撮影風景19_最後のカットは西川さん

最後のカットは西川さん



西川さんの撮影を終えた後のオフショットの中に、僕は奇跡の一枚を発見した。

消臭力CM撮影風景20_鹿毛さんが立った

鹿毛さんが立った

鹿毛さんが立っている。しかも、背筋が伸びているではないか!

同じ腰痛持ちとして、この現象はとても説明がつかない。
医学的にみてもこのような症例は稀なのではないだろうか。


しつこいようだが、鹿毛さんの腰椎の状態はこれだ。
消臭力CM撮影風景2_鹿毛さんの腰椎

鹿毛さんの腰椎



この状態の人が、このようにピンと背筋を伸ばして立っているのだ。

全ての撮影が順調に運んだ、という安堵感、達成感、開放感、それらの思いが鹿毛さんの腰椎を一時的に苦痛から解き放ったのだと思う。

しかし、腰椎の症状が回復するはずもなく、この後の鹿毛さんは再び歩行補助器のお世話になることとなる。

消臭力CM撮影風景21_戦う男のバックショット
戦う男のバックショット

消臭力CM撮影風景22_相棒の歩行補助器と鹿毛さんの足。ホテルの部屋にて

相棒の歩行補助器と鹿毛さんの足。ホテルの部屋にて



このバックショットが、僕にはアルマゲドンのラストシーンに見える。アルマゲドンの日本版があったら、是非、鹿毛さんを主役に据えて欲しい。タイトルはやはり「コシマゲドン」だろうか。

そして、これからテレビで消臭力の新作CMが流れたら、このCMの裏側で特命宣伝部長が腰痛と戦っていたことを思い出して欲しい。

(住 正徳)