発明家インタビュー / 総売上15億の発明を生み出した主婦には、宇宙が関わっていた! 主婦発明家 石田万友実さん
2017.04.28
主婦発明家「石田万友実さん」に直撃インタビュー
こんにちは、藤原麻里菜と申します。私は『歩くたびにおっぱいが大きくなるマシーン』や『一人でタイタニックの名シーンが体験できるマシーン』など、ギャルに「マジでいらない」と言われそうな物ばかり作っています。そして、水道代を滞納していつ水が出なくなるか分からない恐怖と日々戦っています。
……でも、世の中には、『主婦が発明で億万長者になる』という発明家の誰もが夢見るシンデレラストーリーが存在しています。私も、発明で一発当てて、億万長者になりたい。億万長者になって、若手俳優を全員養いたい。
突然ですが、こちらの製品を知っていますか? いつのまにか玄関に溢れている靴たちを効率良く収納できる『シューゼットキーパー』という商品です。おしゃれボーイズ&ガールズたちは、お持ちの方も多いのではないでしょうか。
この製品は、主婦の発明家、石田万友実さんが発明したようです。大手通販サイトの売れ筋ランキングで首位を何度も獲得し、総売上額が15億。じゅうごおく。これは、先ほど話した発明家シンデレラストーリーと同じ軌跡……!
そこで、発明で成功している方にお話を聞きにいき、成功のコツをそれとなく聞きことで、自然と億万長者になれるという天才的な結論が出ました。
アトリエ訪問
ということで、石田さんのアトリエにお邪魔しに来ました。それとなく成功のコツを聞くぞ……。
「いらっしゃい〜〜〜〜」
いきなり知らない陽気なおじさんが迎えてくれました。この方は、旦那さんである石田富照さんです。
「今日はわざわざお越しいただき、ありがとうございます!!!!!!」
ビックリマークが目に見えるくらいの大歓迎で、せこい事を考えている自分が嫌になってきました。ちなみに、旦那さんは献血を200回したそうです。この社会貢献さを見習わなくてはならない。
献血のポイントカードのようなものらしいです。カッコいい。
「大人気ユーチューバーの藤原さんにお越しいただいて本当に嬉しいです!!」
「藤原さんの動画は、とても面白くて!!!!」と、ひとしきり私を持ち上げてくださった後、
「それじゃ!! パンを買いに行って来ます!!!」
パンを買いに行ってしまいました。
なぜ発明をしようと思ったの?
- 藤原
- 改めまして、今日はよろしくお願いします!
- 石田さん
- よろしくお願いします!
- 藤原
- 早速ですが、そもそも何で発明をしようと思ったのですか?
- 石田さん
- 元々は旦那の母親から始まっているんですよ! 旦那の家は3世代で同居していて、玄関には靴がたくさん溢れていました。家で鉄工所を経営しているので、お母さんが工場から出た端材で「靴を収納できる何かできないかな〜」と試行錯誤していたそうです。そこで出来たのが『シューゼット』というZ型の靴収納器具です。
ちょうどその時に、発明のコンテストがあり、応募してみたら、賞を受賞して。すると、色んなところから「うちで商品化しませんか?」という依頼がきたそうです。 - 藤原
- 絵に描いたような最高な話。
- 石田さん
- でも、家は鉄工所だし、近所には仲のいいプラスチックの工場もある。「もしかしたら、自分たちで量産できるんじゃない?」と思い立ち、自分たちで製品を作りはじめたそうです。
- 藤原
- DIY精神がすごいですね。私だったらめんどくさくて丸投げするなあ。
- 石田さん
- 製品化して、東急ハンズさんとかに置いてもらったら、あっという間に人気商品になって。お母さんが一人で作っていたから、追いつかなくて大変だったみたいです。
今もそのことを武勇伝として語られて「うるせー」って思います。
お母さんが作っていたシューゼット
- 藤原
- そこから、石田さんがシューゼットを引き継いだわけですね。
- 石田さん
- そうですね。その頃に私が嫁ぎました。私は『シューゼット』を知らなかったのですが、嫁姑の関係が円満にいくために手伝い始めました……。
- 藤原
- 嫁姑問題はこじれたら大変ですもんね。「こたえてちょーだい」でよく知りました。
- 石田さん
- でも、靴が好きというのもありましたし、前職がバイヤーだったので、どういう物が売れるかというノウハウもあったんです。あと、手伝っているうちに「この部分、こうしたほうがいいんじゃない?」とか思いはじめました。
ちょうどその頃、『シューゼット』特有の形であるZ型の特許が切れたんです。すると、一気に類似品がでてきました。そこで私が、縦型収納とシューズキーパーを一体化させた『シューゼットキーパー』を開発しました。
- 藤原
- 嫁、強しですね……。
- 石田さん
- 開発と言っても、私は専門的な設計図は書けないんです。でも、頭の中にあるものを職人さんに伝えるためにどうにか形にしなきゃいけない。なので、粘土や木彫りでサンプルを作って、それを専用ソフトが使える旦那やお父さんに見せて、設計図を作ってもらう。という感じで製品化しています。
- 藤原
- 粘土や木彫り! 家族一丸となって作られているのですね。ちなみに、お家の鉄工所では何を作っているんですか?
- 石田さん
- ロケットとか衛星モデルというのを作っていますね。
- 藤原
- 宇宙……?
- 石田さん
- 地上実験試作機というもので、実際に飛ばす前の実験段階の物を作っています。はやぶさとか。
- 藤原
- 『はやぶさ』ってあの凄い探索機ですよね。詳しくは知らないですが、凄いということは知っています。
- 石田さん
- そういう技術があるから、シューゼットの形とかも微妙な数値で出来ているんですよ!工場内は、半分シューゼット・半分宇宙って感じになっています。
他の発明品
- 藤原
- 靴の収納とは全く別の物を作ろう! ということはあるんですか?
- 石田さん
- 商品化まではいっていないですが、これとかお母さんと一緒に作りました。
- 藤原
- キッチンの排水口?
- 石田さん
- そうです! あそこに溜まった生ゴミって、捨てづらくないですか?
- 藤原
- 分かります!!!! こびり付いて取れないですよね。掃除しにくいし、本当に何なんですかね。誰にクレーム入れればいいんですかね。
- 石田さん
- そこで、これを作りました。
- 藤原
- 魔法?
- 石田さん
- これは、私とお母さんでアイディアを考えて、お父さんが制作してくれたんですよ。
- 藤原
- おお!宇宙の技術が込められているんですね。
- 藤原
- これは、タライですか?
- 石田さん
- これは……。地震が来たときに身を守るものですね。お風呂とかで地震が起きたら、身を守るものってないじゃないですか。そこで、タライに取手を溶接してもらいました。すみません。なんか、恥ずかしいです。
- 藤原
- あれ…これは……。
- 石田さん
- 結局、こうなりました。
- 藤原
- 宇宙の技術が……。
進化させるということ
- 藤原
- あっ! ブーツ用のシューゼットもあるんですね。
- 石田さん
- ブーツキーパーを兼ねた『シューゼットブーツキーパー』というのも作りました。私は普段から自分の製品は使っているんですけど、そこで新しい製品のことや改良点を思いつきます。
「そういえばブーツ用無い!」と気づいて、試作品をいくつも作り、製品化しました。
- 石田さん
- でも、ブーツって、それぞれ長さが違うじゃないですか。だから長さの調節が一つの製品で出来るように改良しました。
- 藤原
- お話しを聞いていると、『シューゼット』という一つの製品をどんどん改良していますよね。私は、一個作ったら満足して違うものを作ってしまうので、すごく新鮮です。
- 石田さん
- シューゼットは完了形がなくて進行形だと思っているんですよ。私がやり始めてから20年近く作り続けているんですが、まだまだ完了ではないです。改良って、めちゃくちゃ楽しいんですよ! 藤原さんの発明品も改良してみましょうよ!
- 藤原
- 改良って、めんどくさいじゃないですか……。コツとかってありますか?
- 石田さん
- うーん。先ほども話しましたが、普段自分の製品を使っていると、気になる点が出てくるんです。だから、自分の製品の現状に愛着を持ちすぎないのは大事ですね。藤原さんのは、普段から使えるもの少ないですけど……。やってみてください!
- 藤原
- なるほど……。私も普段から頑張って使ってみます。
お金って儲かるの?
- 藤原
- ゲスい話で申し訳ないんですが、やっぱり巨大なマネーが毎月入ってくるんですよね。
- 石田さん
- よく、発明で御殿が建つとか言われますが……。残念ながら面白い話は皆無です。
- 藤原
- 皆無。
- 石田さん
- あ、軽自動車買いました。儲かったお金は、次の金型代に回すんですよ。ちなみに、シューゼットは全部、国内で作っているんですよ。
- 藤原
- えー! 国産なんですね……! でも、私はずっと赤字なので、羨ましいです。
発明とは
- 藤原
- プロフェッショナルみたいな質問で恐縮なのですが、石田さんにとって『発明』とは、何ですか?
- 石田さん
- 発明とは……。なんだろう。
- 旦那さん
- 「発明とは、アイディアを加工することだね。ゼロからイチは中々作れない。やっぱりどなたかが既に考えていたものなんだよ。だから、「自分たちが考え付いた」と、傲り高ぶらないことが大切。そして、そのアイディアをどう自分たち流に形にできるか。それが発明だと思うな」
最後は、両手にパンを持った旦那さんの良い言葉で締めくくりました。
終わりに
『完成』と思わないことは、発明にとって大切なことなのかもしれません。普段から使っているシューゼットは、家族の情熱が込められた発明品でした。
改良を重ねることで、私も億万長者になれるのかもしれません。ただ、改良に対する「めんどくせえ」という気持ちをどう処理していくかが、今後の課題です。
石田さんは、アイディアの発想方法から英会話までを教える『アイディアフレンドパーク』という講義を不定期開催されています。これに行って、アイディアのコツを身につけます!
アイディアフレンドパーク
今後の開催予定日 | 平成29年5月13日(土) 14:00~16:00 平成29年6月10日(土) 14:00~16:00 詳細はこちら https://www.hatsumei.or.jp/ideapark/index.html |
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プロフィール

名前 | 藤原 麻里菜 |
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生年月日 | 1993年7月20日 |
出身地 | 横浜市戸塚区出身 都内在住 |
2013年から、YouTubeチャンネル『無駄づくり』を開始し、無駄なものを作り続ける。ガールズバーの面接に行ったら「帰れ」と言われた。
- https://twitter.com/togenkyoo