金原みわ|栃木、イキイキギョーザ篇 | ニッポン奇食道楽

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ニッポン奇食道楽 / 栃木、イキイキギョーザ篇

2017.07.21

栃木県宇都宮と聞いて浮かんでくるのは、やはり“餃子”であろう。驚くほどの餃子推し、駅に降り立つと餃子のキャラクターがお出迎えしてくれる。駅前にある餃子屋の香りがふわんと漂ってくる。餃子が有名な土地は全国に多くあるだろうが、宇都宮ほど餃子めいている土地はないだろう。

さて、ここに一軒のギョーザ専門店がある。繁華街の中に突如として現れる「イキイキギョーザ」というお店である。

「イキイキギョーザ」外観

「イキイキギョーザ」店内

お店の中は、壁一面にびっしりとメニューが掲げられている。その数600種類だそうだ。どれも変わりダネばかりで、奇食家としては「大将!端から珍餃子全部持ってきて!!」と言いたいところだが、1皿5個入り600種類だと合計3000個の餃子になってしまうので、メニューを見ながらどれを注文すべきか悩む。

「イキイキギョーザ」メニュー表

迷った末に、持ってきてもらったのはこちらだ。焼き餃子セットから「飲茶餃子」。10種類の餃子のセットである。

10種類の餃子のセット

一見ふつうの美味しそうな餃子に見えるが…

甘い餃子

フルーツ餃子、ヨーグルト餃子、チョコレート餃子!
この連載に合わせたかのように、甘〜い餃子が沢山入ってるコースなのだ!

もちろん普通の餃子も入っている。
コース料理のように、前菜を食べるような気持ちで甘くない餃子をいただく。

タケノコ餃子

これは“タケノコ餃子”。タケノコの香ばしさがたまらないし、プリプリとした食感が楽しくて美味しい。

タケノコ餃子

これは“豆腐餃子”。ひと噛みすると豆腐に染み込んだ肉汁がジュワッと染み出してきて、めちゃくちゃ美味しい。永遠に食べられそう。

どれも完璧な美味しさだ。もう別に他の変な餃子など冒険せずに帰っても良いかもしれない。

しかし、あくまでもこの連載は
「奇食のスィーツを食べる」
というのがコンセプトだ。スイーツ餃子を食べずに帰ることはできない。

それでは、ヨーグルト餃子をいただきます。

ヨーグルト餃子

おおお。おおおお。
甘いけれど甘すぎず、クリーミーだけど酸味のせいか後味はサッパリとしている。とても食べやすい。

さらにフルーツ餃子をいただきます。

フルーツ餃子

おおおお〜 こう来たか。

ドライフルーツの他にグリンピースも入っていて、フルーツサラダっぽい仕上がりだ。

最後に、チョコをいただきます。

チョコレート餃子

おおお! おおお〜〜
これはもう、なんというか普通に美味しい! 餃子というよりか、もはやクレープだ。餃子の皮をかぶった、チョコバナナクレープだ。

600種類もあるうちのデザートなんて適当に作ったのではと思っていたが、どれも味と食感とを考え尽くして作られている、究極のデザート餃子という感じである。

ここで、大将の若月さんに話を伺った。

── いやあ、600種類もあるってすごいですね。

大将の若月さん

若月「ここのメニューには、80の具材と10の調理の方法があるんです。肉やニンニクや野菜などの具材と、焼いたり蒸したりという調理方法ですね。それを掛け合わせると本当は800種類はあるんですが、相性や完成度を見ると最終的に600種類になるんです」

── すごいです。この600種類というのは選びぬかれた餃子なのですね。他の店にもこんなに種類はあるんでしょうか?

若月「ないね。おそらくだけど、ここが日本で一番餃子の種類が多いと思うよ。小さな自慢だね」

── 本場の中国で餃子を食べたことがないのですが。こんなふうに沢山の味があるものですか?

若月「向こうの餃子は、野菜餃子ばっかりです。作り方もシンプル。ツボに入れて埋めて保存して、いざ食べる時に鍋にいれるとか、そういう食べ方をします。焼き餃子ってのは日本独特のものですよ」

焼く前の餃子

若月「もともとの餃子の歴史は、日本人が満州に行ってた頃に食べた餃子を、日本で再現したのがはじまり。美味しさを守りながら、さらに工夫を重ねて行って今の和餃子があるんです」

── このお店は長いんですか?

若月「35年を超えたというところですね。私も、もう82歳で、宇都宮の餃子店でも最長老になってしまいました」

── ええ! 全然見えない。肌もプリプリしてるし、なんでだろう。餃子の力なのかな……

若月「餃子教室というのもやっていましてね。静岡からも餃子を手習いに来たりしていますよ」

── 餃子教室ですか! すごい。宇都宮餃子を教えているところは、他にもあるのですか?

若月「いやぁ、聞いたことがないね」

その後ろでは、お弟子さんが一生懸命に餃子を作っているのであった。

奇食系のお店だと思って訪れたそこは、宇都宮餃子の最長老であり、その餃子を後世に伝えるための教室でもあったのだ。

── これから挑戦したいことってありますか?

若月「そうですね、美味しさの質を上げたいですね。使う材料を良くしたりしてね」

── まだまだ美味しさを追求したいとは、頭が下がります。……ん? そういえば、珍メニューが多いですけど、味が一切わからないものもありますね。これってどういったメニューなのですか?

餃子セットのメニュー表

若月「“泳いでいる餃子”は、ワカサギをまるごと一匹入れています。“子だくさん餃子”は、数の子とかそういう魚卵を入れています。今は機械で餃子を大量生産できてしまうけれど、こういうのは手作りじゃないとできないことですね」

── 手作りならではの珍餃子なのですね。ちなみに、この“初恋味の餃子”ってのは一体どんな具が入っているのですか?

壁の餃子メニュー

若月「これね。まあ、甘い系です。食べてみますか?」

── 甘い系! この連載にぴったりのデザートですね。ぜひお願いします!

そうして待つ事数分、持ってきてもらったのが、こちら。

初恋味の餃子

食べると、優しい甘味が口いっぱいに広がる。あとは……なにか柑橘類が入っているのだろうか、爽やかで酸味のある香りが鼻を抜けていく。パプリカとグリンピースが入っていて、野菜の青い味もする。これが、初恋味の餃子。

そして食べ進めると、さらになにか緑色の苦いものが入っている。

── 甘酸っぱくて美味しい。あと、隠し味でなにか苦いものが入っているような。何が入っているのですか?

若月「甘味として、りんごと、たまねぎ。あとは酸味としてレモンを入れていますね。苦味にも気付いたんですね、それはゴーヤです。」

── ゴーヤ! どうして甘いものと、そんなもの混ぜちゃうんですか?

若月「そりゃあ、初恋ですよ。甘酸っぱいだけじゃない。苦い思い出もあるものです」

── ははは。マスターの思い出を詰めこんだ感じでしょうか。

若月「まあ、そりゃいろいろありましたよ……」

意味深な感じで会話は終わった。
確かに初恋とは甘いだけじゃない。自分の初恋を、ふと思い出す。恋の始まりの甘酸っぱい記憶と、恋の終わりの苦い記憶。確かにいろいろあるものだ……。

奇食を求めてきたのに、まさか初恋を思い出すことになるとは思いもよらなかった。甘酸っぱくて苦い想い出を反芻しながら、甘酸っぱくて苦い餃子を食べ終わった。

お店の情報

店名 イキイキギョーザ
営業時間 17:30〜翌日2:00 定休日:日曜日

プロフィール

金原 みわ
名前 金原 みわ
生年月日 1986年5月9日
出身地 大阪市内在住

珍スポットトラベラー。全国の面白いところ・珍しいところを旅して、ラジオやイベントでレポートしている。旅中は車中泊やボロ宿に泊まり節約しているが、心が荒み3日目で家に帰りたくなる。

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