なぜ炊飯器ばかりがもてはやされる? |食いしん坊編集者、松浦達也の「Qごはん」

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食いしん坊編集者、松浦達也の「Qごはん」 / なぜ炊飯器ばかりがもてはやされる?

2017.04.18

なぜ炊飯器ばかりがもてはやされる?

こんにちは。勝手に「米唐番プレゼンツ」と言いたいだけの食いしん坊編集者、松浦達也です。「エステーQ」では珍しく、生活者のためになるような実用的コンテンツを目指していますが、そもそも「生活者」って誰のことを指す、どういう意味の言葉なのかよくわかっていない時点で、お役に立てるかどうかは不明です。

さて以前、「しらべぇ」という調査系ニュースサイトで「ごはんの炊き方」を徹底解明という記事を企画して書いたことがあります。この記事のために全国の20~67代の男女1379名を対象に調査をかけていただいたというのに、その後PR記事を1本書いただけで、すっかりサボっておりまして、たいへん申し訳なく思っております。

それはそれとして(ヲイ)、上記記事のなかで米をどうやって炊いているか調査したところ、全体の86,7%が「炊飯器」と回答したところまではわかります。ところが「鍋で炊く」6.5%に対して、「買ってくる」のほうが6.7%と多いのはどういうことなのか、いまひとつわかりません。

炊飯器のイメージ

どうして炊飯はこれほど難しいものになってしまったのか。さかのぼってみると、炊飯器の元祖とも言えるガス式の「炊飯竈(かまど)」が当時の東京瓦斯(がす)会社によって考案・実用化され、専売特許権を得たといいます。

当時は一般家庭では調理用熱源としてのガスは普及途上でした。古い新聞広告を調べてみると、いまから約100年前の1910年代に複数の「炊飯器」が発売されています。といっても、いまの炊飯器とは別物。「羽釜」のことを炊飯器と銘打って販売していたり、羽釜の内側の底に置く、こんな器具をそう称していたのです。

昔の炊飯器のイメージ

1926年の朝日新聞に載っていた「飯(ごはん)の寶(たから)」の広告イラストを手書きながら、書いてみました。わりと誌面の印象を再現できていると思います。現物を見ていないので、正確な機能はわかりませんが、当時、竈の熱源は薪でした。薪で炊くと炊けムラができたり、底が黒焦げになったりと、仕上がりは炊き手の腕前にかなり左右されたと言います。

地方によっては「かてめし」といって、底に野菜を敷いたところに米を入れて炊くごはんもありましたが、これはかさ増し効果に加えて、鍋底の焦げつき防止という一石二鳥の調理法でした。

上記の「飯の寶」も米が直接鍋底に接地して焦げつかないよう、上げ底にするためのアイテムだったのでしょう。さらに昔は一度に炊く量が多く、温度ムラに悩まされた家庭もあったはずです。イラストでは底の部分に小さな丸い穴が空いています。そこから上の穴の開いた棒を通じて、釜内部の湯温を均等にするためのアイテムだったと思われます。

「難しい」というイメージがあった炊飯でしたが、難度の高さの最大の理由は熱源が薪という不安定なものだったから。その後、家庭の炊事用の熱源としてガスが普及し、炊飯の難易度はグッと下がるはずですが、炊飯の自動化は着々と進んでいきます。戦前の1937(昭和12)年には旧日本陸軍が炊事自動車に電気炊飯器を搭載します。

さらに戦後、1955(昭和30)年の国産第一号自動式電気釜が発売されると、その後、保温機能やタイマー、樹脂加工内釜などさまざまな機能が追加されていきました。確かに便利にはなり、全体の86.7%が炊飯器を使うようになり、鍋炊き派は6.5%と少数派に転落してしまいました。

しかし敢えて言わせていただきましょう。「いまでは鍋炊きもうまくてかんたんである!」と。確かに、かの美食家、北大路魯山人は「三度炊く飯さえ硬(こわ)し軟(やわ)らかし思うままにはならぬ世の中」と詠んだと言います。さすが魯山人。当時の炊飯なんて、朝に炊いたものを昼、夜と使い回す家も少なくなかったのに、3回炊くとは米に対する執念すら感じさせられます。そんな稀代の美食家でさえも炊飯は難しかった――。

そりゃあそうです。当時の熱源は扱いづらい薪で、米にしても現在ほど安定したサイズや品質のものばかり収穫できたわけではありません。ましてや天日干しの米の干し加減は天候にも左右されます。「天日干しがいい!」というイメージを持っている人も多いかもしれませんが、水分量にはどうしてもムラが出ます。かたや、機械干しの乾燥は水分量15~15.5%でピタリと止ます。水分量が一定になれば、炊飯だってもちろん安定します。しかもガスという安定の熱源もあり、炊けムラの起きにくい厚手の鍋やごはん土鍋のラインナップも充実しています。

土鍋のイメージ

いい炊飯器で炊いたごはんもおいしいんですが、僕としては鍋炊きのほうが気軽に早く炊けるし、好みの加減にも調整できる。個人的には、お鍋やお釜の方との付き合いが長くなりそうな予感がしています。

プロフィール

松浦 達也
名前 松浦 達也
出生地 東京都武蔵野市の水口病院
職業 編集者/ライター/フードアクティビスト(調理、調査、レシピ、実食、洗い物、その他雑務担当)

すぐに気が散るのが特技で、いまだに自分の職業を一言で言えない。この際、学生時代に実父に面と向かって言われた「ごくつぶし」と名乗るのいいかもと思い始めている。

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