桃山商事・清田代表の「胸キュン映画に恋して」/ 『君の膵臓をたべたい』
2017.08.28
「隣の席のギャルが序盤から大泣きしてました」
画像は公式サイトより引用
旬の若手俳優がキャッキャする映画を観て失われた青春を取り戻す当連載。第5回目は、原作が住野よるによる200万部突破の大ベストセラー小説、主演が浜辺美波&北村匠海というフレッシュコンビという話題作『君の膵臓をたべたい』を観てきました。今回も担当編集のスミさんとの会話形式でお送りいたします。
- 清田
- 青春映画にまったく興味がないスミさんですが、さすがに“キミスイ”は耳にしたことがあるのでは?
- スミ
- タイトルにインパクトあるので知ってました。そして、こないだ電車の中で「君の膵臓をたべたい」ってマスクにマジックで書いてる女の子を見ました。怖かったです。
- 清田
- 作品を知らない人が見たらホラーでしかありませんね(笑)。
- スミ
- 猟奇的な話っぽいタイトルですが、まさかそういう内容……ではないですよね? 例えば『ハンニバル』的な。
- 清田
- 自分も最初はホラーとかミステリーっぽいものをイメージしてました。ちなみに『世界の中心で、愛をさけぶ』(セカチュー)は観てました?
- スミ
- はい。「助けてくださーい!」のやつですよね?
- 清田
- キミスイは完全にセカチューのラインで、主人公の桜良(さくら/浜辺美波)は膵臓の病気にかかっていて、余命一年の宣告を受けてるんですよ。それまで誰にも言ってなかったのが、たまたまクラスメイトの男子(北村匠海)に知られてしまい、そこから二人は距離を縮めていく……という話で。
- スミ
- なるほど、こちらも難病モノなんですね。でも、そこから「膵臓がたべたい」ってなる流れが想像できないです。
- 清田
- 桜良は「死ぬまでに叶えたいリスト」を男子の力を借りながら実現させていくんですが、その中には「男の子と旅行する」とかもあって、二人で博多へお忍び旅行に出るんです。この二人は恋人ってわけじゃないんですが、桜良のほうがグイグイ引っ張っていって、序盤は童貞の妄想的な展開でたまらないんですよ。でも、二人が接近していくほど、背後にある「死」の影が想起され、切なさが募っていくという……。
- スミ
- 難病モノにしては明るいトーンなんですか?
- 清田
- 序盤はめっちゃ明るいです。背後に死がなければ単なるギャルゲーかと思うくらいです。でも「これが最後の旅行なんだろうな……」とか考え始めちゃうと途端に切なさがこみ上げてくる。隣の席に座ってた全身スウェット姿のギャルは序盤から鬼泣きしてました。
- スミ
- ギャルが鬼泣き! それ、相当ですね! で、それがなぜ「君の膵臓がたべたい」ってなるんですか?
- 清田
- この言葉は物語の中で意味が変化していくんですよ。最初は冒頭で出てくるんですが、それは迷信がもとになっていて。というのも、大昔は「どこかの臓器が病気になった場合、動物の同じ部分を食べるといいらしい」と信じられていたようで、そのことを図書館の本で知った桜良は、冗談まじりに男子に対して「君の膵臓をたべたい」って言うわけです。
- スミ
- ヒロイン発信の言葉だったんですか!
- 清田
- そうそう、ちょっとからかうニュアンスの言葉で、実際に男子も「怖いからやめてよ……」みたいに戸惑うわけです。
- スミ
- なんだか、その時点でちょっと涙腺にきますね……。
恋愛とも友情とも違う関係を丁寧に描く
- 清田
- この映画がおもしろいのは、この二人は恋愛関係になっていかないんですよ。互いに惹かれ合っていくのは確かなんですが、恋愛感情というのともまた違う、なんと言うか、それぞれ「この人は自分にないものを持っている」と感じていき、やがて「君のような人間になりたい」という思いを深めていく……。
- スミ
- うわっ、もう、やめてー。観てないのに涙腺崩壊しそうです。
- 清田
- 男子のほうは他者に心を開けない内向的なタイプで、桜良のオープンな性格に惹かれていく。一方、桜良はさみしがりやで孤独に弱く、男子の持っている自立したマインドに惹かれていく。
- スミ
- ピッタリな二人じゃないですか! 膵臓、医学の力で何とかならないですかね? 運命が残酷すぎるでしょ! もうっ、医学がんばれ!
- 清田
- ホントですよね……。膵臓の病気って、まったく自覚症状のないまま進行していき、発見されたときにはすでに手遅れということがほとんどのようで、現代でも難病扱いなのだそうです。それで、死後発見された手紙に、「君のような強さが欲しかった。やっぱり私は君の膵臓をたべたい」って書いてあった。最初は「君の膵臓をたべたら病気が治るかな(笑)」って意味だったのが、最後は「君の一部をたべて君のような人間になりたかった」という意味に……。
- スミ
- たまらないじゃないですか、その展開! もう、絶対観ますよ。ラスト聞いちゃったけど、絶対に観ます。
- 清田
- オチとかは全然関係ない感じなので、絶対に観て欲しいっす! 物語もさることながら、主人公たちのビジュアルが美しすぎて死にます!
- スミ
- 桃山商事もギャルも大泣きする映画ですもんね。
- 清田
- 今からでも遅くないので、ぜひ!!!
映画情報
タイトル | 君の膵臓をたべたい |
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監督 | 月川翔 |
原作 | 住野よる |
脚本 | 吉田智子 |
出演 | 浜辺美波 北村匠海 大友花恋 上地雄輔 北川景子 小栗旬ほか |
配給 | 東宝/2017 |
ホームページ | http://kimisui.jp/ |
総評 5点満点
胸キュン度 | ★★★★ |
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オススメ度 | ★★★★★ |
今からでも遅くないから観て度 | ★★★★★★★★★★ |
プロフィール

名前 | 清田隆之(桃山商事/代表) |
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生年月日 | 1980年5月20日 |
出身地 | 東京都足立区 |
大学時代から人々の恋バナを聞き集めています。今をときめく星野源、高橋一生、ディーン・フジオカ、ライアン・ゴズリングと同い年ですが、年収が一向に上がりません。
プロフィール

名前 | 住 正徳 |
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職業 | 執筆/デザイン/映像制作屋 フリーランス |
物事を正しくみる目がないことを賞賛され、副編集長に就任。 椎間板ヘルニア、十二指腸潰瘍、いぼ痔を抱えるため繁忙期にはどれかが疼く。
- https://twitter.com/sumimachine
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