奇界の車窓から / カッパのミイラ、奄美大島のチタン製ウミガメ、リアルなうさぎと亀。今回は甲羅にまつわるお話の件
2017.10.10
「カッパのミイラがある酒造」
- スミ
- 唐突ですが!今回はカッパについてお願いします。
- 佐藤
- いきなりカッパ。
- スミ
- 今、エステーQではカッパを追ってまして。僕もカッパを探しに遠野まで行ってきました。
- 佐藤
- おお、基本ですね。
- スミ
- え? カッパに基本ってあるんですか?
- 佐藤
- カッパは日本全国に目撃報告がありますけど、やはりメジャーは遠野じゃないですかね。
- スミ
- カッパ目撃報告のメジャーってなんだかすごいですね。
- 佐藤
- 宇宙人と同じで、色々とタイプあるみたいですけど。遠野はいわばグレイタイプみたいな。
- スミ
- ハハハハハ! 基本型ですね?
- 佐藤
- "THE KAPPA" みたいな感じですかね。
- スミ
- 遠野のタバコ屋さんのおばさんが「カッパは子供達を水難事故から守るために言ってただけよ」って冷めたこと言っててガッカリしました。
- 佐藤
- 逸話も色々ですよね。そういう話も多いですけど、恩返し系とか、呪い系とか。その辺も宇宙人ぽかったり。
- スミ
- なるほど。土地によってカッパの恩返しとか、カッパの呪いとか、いろいろあるんですね!
- 佐藤
- 熊本には、昔9000匹のカッパが出たという逸話もあるみたいですよ。
- スミ
- なんですかそれ!カッパの大量発生って!イナゴみたいですね。
- 佐藤
- 九千坊といって、九千匹のカッパを束ねてたボスカッパがいたらしいです。
- スミ
- カッパ襲来じゃないですか!
- 佐藤
- 一説にはこれは渡来民族のことだったとか、、。なんか地方によって目撃される姿も緑だったり赤だったりまちまちで。
- スミ
- 赤いカッパ、ですか?
- 佐藤
- そうですね。なんか緑とかは割とマイナーだったのが、現代では逆に有名になってるとか聞いたことあります
- スミ
- おお!カッパの変遷!
- 佐藤
- 「よくわからない存在」を総称してカッパと呼んでいたような節もありますね。ちょうど今奇妙な人型生物が全部宇宙人とか言われるような感じで。
- スミ
- わっ!なんですかこれ?
- 佐藤
- これもある意味メジャーカッパですけど、佐賀の松浦一酒造のやつですね。
- スミ
- ミイラ?
- 佐藤
- そうです。伊万里焼で有名な伊万里の酒造にあるミイラで。
- スミ
- 伊万里焼ではない?
- 佐藤
- ではないです。屋根裏から発見されたそうですよ
- スミ
- ハクビシンとかみたいですね。屋根裏にいたって。酒造に展示してあるんですか?
- 佐藤
- そうです、今は酒造の展示ブースの神棚に安置されてるんですけど、誰でも見られるような状態で。
- スミ
- すごいですね。
- 佐藤
- 発見されたのが昭和28年とからしいので、かなりほったらかしだったんですね。
- スミ
- 実際に見て、どうでした? 本物?
- 佐藤
- うーん、近づけるのは1m手前くらいなんですよ。で、結構暗いので、正直皮膚の感じとかはよくわかんなかったんですが、少なくとも何か生物のミイラですよね。
- スミ
- クチバシみたいなものもあるし、カッパで間違いないのでは。
- 佐藤
- そうですね。そこにあった説明だと、酒造なので多分、酒を作る水の守り神的な存在として、昔の当代が買ったんではないかと、、みたいなことが書いてありましたね。
- スミ
- 買ったんだ!
- 佐藤
- あんまり覚えてないですけど、全体的にカッパ推しでしたよ。
- スミ
- 佐藤さんはこのミイラを見るためだけに?
- 佐藤
- そうです。佐賀のなんか色々巡っていて。
- スミ
- それもすごい。
「カッパ=平家の落人という説も」
- 佐藤
- カッパの正体として平家伝説もよく出てくるんですが、佐賀のあの辺りって平家の落人が多かったらしく、今でも心霊スポットとかも多いですね。
- スミ
- え? 心霊スポット?
- 佐藤
- 観光案内所で少し聞いたら、そこの人たちが各々、心霊体験談を話してくれて、ほんとにあるみたいです。
- スミ
- え? え? カッパが平家につながって心霊体験ですか!
- 佐藤
- さっきの九千坊もそうですけど、平家の落人が正体だったとかいうような話もあったりして。そこで捕まった平家は打ち首になり、その首塚が今もたくさんあって、心霊スポットになってるらしいです。
- スミ
- 平家がらみの話って、怖い話多いですもんね。
- 佐藤
- 多いですね。平家もよくわからない伝承とか奇習のルーツになりがちですしね。スミさんは幽霊とか心霊体験とかあるんですか?
- スミ
- 大学時代、水上スキーという部活をやってまして、夏の間、合宿所生活だったんですよ。
- 佐藤
- ええ。
- スミ
- その合宿所が、茨城の潮来の辺りなんですけど、元病院っていうやばい場所でして。
- 佐藤
- おお、なんか期待大な舞台ですね。
- スミ
- そこで、夜中に寝てると女の人から名前を呼ばれるって話がありまして。僕だけ呼ばれなかったんですが、同期は大体呼ばれてました。
- 佐藤
- あ、そこで寝てる人の名前を呼ぶんですね。
- スミ
- そうです。ただ呼ばれるだけだったらしいですが。あと、朝起きたら赤ちゃんの足跡が廊下に残っていたりとか。
- 佐藤
- 足跡、怖い!
- スミ
- あそこはやばかったですけど、先輩の方が怖かったです。
- 佐藤
- なるほど笑
- スミ
- 佐藤さんは?
- 佐藤
- 僕もないこともないですけど、、、一度、高校生のときに音楽スタジオでアルバイトをしていたんですが。
- スミ
- スタジオ、やばいですね。
- 佐藤
- そこが、いわゆる都内のスタジオみたいなとこではなくて、プロのミュージシャンが合宿しながら曲作るような半リゾート的なところで。
- スミ
- 舞台設定が良い感じです。
- 佐藤
- そこが結構深い森の中にあるんですが、一説にそこが戦国時代に処刑場だったそうで。
- スミ
- 土地の歴史がやばい!
- 佐藤
- 結構、見る人が多かったんですよね。
- スミ
- 見ました?
- 佐藤
- 例によって僕は何も経験してないんですけど、僕が受付にいたら、一度、有名なバンドのギターの人があわてて受付に走ってきて。
- スミ
- おおっ!
- 佐藤
- いま、自動販売機でジュース買ったらジュースじゃなくて手が落ちてきた!と真顔でびびってたことがありました。
- スミ
- ひゃー!
- 佐藤
- 見に行ったら普通にアクエリアスがあったんですが・・・。
- スミ
- ハハハハハ!アクエリアスって!
- 佐藤
- 文にすると笑い話みたいな話なんですけど、結構本気で怖がってたのでしばらく怖かったですね。
- スミ
- それは怖いですよ!明日から自販機でジュース買うときちょっとよぎってしまいそうです。
「奄美大島の空港展示に新作登場!そしてリアルなうさぎと亀」
- 佐藤
- あ、そういえば、奄美大島に行ってきました!
- スミ
- あっ!例の展示はどうでした?佐藤さんは奄美大島の空港で「水槽の海老が脱皮しました」という雑な展示を写真におさめていましたが。
- スミ
- うわー!
- 佐藤
- まさかのジェット機亀になってました。
- スミ
- 脱皮関係なくなってる!
- 佐藤
- もう全然、脱皮とかそんな雰囲気じゃなく、いきなり航空アートになってましたね。
- スミ
- この空港最高ですね!きっとアイデアマンがいるんでしょうね。
- 佐藤
- そうですね。多分、60代くらいの男性な気がします。箱根系オブジェというか、なんでしょうこの感じ。リサイクルアート的な。
- スミ
- なんでジェット機の部品でウミガメをって思いますよね。
- 佐藤
- 奄美にウミガメが来るからじゃないですかね?
- スミ
- それはそうなんですけど、、、隣にあるのは、卵?
- 佐藤
- あ、そうです。卵も再現。
- スミ
- 前回の脱皮もそうですけど、生真面目な感じがほとばしってますよね。
- 佐藤
- すごい真面目に展示してるのにシュールになってしまうという。
- スミ
- それにしてもこのウミガメ、見れば見るほど狂ってる!(良い意味で)。
- 佐藤
- チタンなんで、結構加工難しいはずで、素人仕事じゃないですよね。
- スミ
- これがクールジャパンですね。
- 佐藤
- 寄贈 JALグループだから結構お金かかってるのかも。日本の匠が絡んでる気がしますね。
- スミ
- 無駄な技術力、最高ですね。
- 佐藤
- 余技で作っちゃうみたいな世界ですね
- 佐藤
- 亀繋がりというところでいうと、
- スミ
- おっ!
- 佐藤
- ちょっと前にマダガスカル島に行ってきまして、本当にどうでもいい話なんですが、
- 佐藤
- うさぎと亀が一緒に暮らしてました。
- スミ
- すごい!童話の世界が現実に!競争してました?
- 佐藤
- 案外、同じ餌を食べるみたいで、亀が接近するとうさぎが逃げるという感じでした。
- スミ
- あ、確かに同じ草を食べてるっぽい!
- 佐藤
- そうそう、同じ草を食べてる瞬間を撮りたかったんですが、
- スミ
- どうしてもうさぎが逃げる。
- 佐藤
- そうなんです。このショットが限界でした。
- スミ
- いずれにしても、良い感じで共存してたんですね。リアルなうさぎと亀。
- 佐藤
- そうですね。アフリカくらいならこういう共存も可能だという。
- スミ
- カッパから亀へ、今回は甲羅つながりですね。
- 佐藤
- あ、言われてみれば。さすが。
- スミ
- あと、奄美大島の次回の展示が楽しみですね。
- 佐藤
- 脱皮したエビ、チタン製の亀、と来て次の一手に期待ですね。
- スミ
- 予測不可能ですからね。
- 佐藤
- 何か海の生き物であることは間違いないと思いますけど。
- スミ
- いや、そこも覆してくるかもですよ。
- 佐藤
- いきなり馬とか。
- スミ
- タバコの箱で作った傘とか、そういう方向も想定しておかないと!
- 佐藤
- ああ、マッチ棒の軍艦とかもあり得ますね。
- スミ
- 昭和のおじさん、おばさんの趣味の世界だ!
プロフィール

名前 | 佐藤 健寿 |
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武蔵野美術大学卒。フォトグラファー。世界各地の“奇妙なもの”を対象に、博物学的・美学的視点から撮影・執筆。写真集『奇界遺産』『奇界遺産2』(エクスナレッジ)は異例のベストセラーに。著書に『世界の廃墟』(飛鳥新社)、『空飛ぶ円盤が墜落した町へ』『ヒマラヤに雪男を探す』『諸星大二郎 マッドメンの世界』(河出書房新社)など。近刊は米デジタルグローブ社と共同制作した、日本初の人工衛星写真集『SATELLITE』(朝日新聞出版社)、『奇界紀行』(角川学芸出版)、『TRANSIT 佐藤健寿特別編集号〜美しき世界の不思議〜』(講談社)など。NHKラジオ第1「ラジオアドベンチャー奇界遺産」、テレビ朝日「タモリ倶楽部」、TBS系「クレイジージャーニー」、NHK「ニッポンのジレンマ」ほかテレビ・ラジオ・雑誌への出演歴多数。トヨタ・エスティマの「Sense of Wonder」キャンペーン監修など幅広く活動。
- 佐藤健寿 THE WONDERLAND 奇界
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名前 | 住 正徳 |
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職業 | 執筆/デザイン/映像制作屋 フリーランス |
物事を正しくみる目がないことを賞賛され、副編集長に就任。 椎間板ヘルニア、十二指腸潰瘍、いぼ痔を抱えるため繁忙期にはどれかが疼く。
- https://twitter.com/sumimachine
- https://www.instagram.com/sumimachine/