藤原麻里菜|市原えつこさん | 発明家インタビュー

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発明家インタビュー / 「自分が生きたい世界を生きるために」作品を作り続ける市原えつこさん

2017.08.18

発明家 市原えつこさんにインタビュー

発明家インタビュー/市原えつこさん1

無駄なものを作っている藤原麻里菜です。
私は今まで様々な『無駄な発明品』を作って来たのですが、どれも自分自身の欲望や思いが現れています。例えば、『フォトジェニックを台無しにするマシーン』は、センスゼロの私がインスタグラムブームに乗り切れなくて腹がたつということから制作したし、マッチョをスキャンして作った『雄っぱいマウスパッド』については、単純にマッチョをスキャンしてデータとして保存したかったからです。キモいね。

この連載でも紹介した『シューゼット』『四徳ピーラー』『KAPPA』など世の中を便利にする発明はその需要によってお金を稼ぐことができます。しかし、私の発明は、自分自身のことしか考えていない、ダイソーだったら『ザ・エゴ』というキャッチコピーで販売されていそうな物ばかりです。絶対に売れないしメイクマニーできないのです。

そんな時に、こんな作品に出会いました。

市原えつこさんの作品『セクハラ・インターフェース』

こちらは、メディアアーティストである市原えつこさんの作品である『セクハラ・インターフェース』

一見、ただの大根にしか見えませんが、大根を撫でるとそれに反応して、女性の喘ぎ声が再生されるのです。触り方などによって声のボリュームも変わってくる優れもの。……優れもの?
アダルト感はありますが触っているのはただの大根という、チグハグな光景がすごく笑えます。

アーティストとして自分のアイディアを次々に形にし、それを仕事にされている市原えつこさんに、お話を伺いに行きました。

物を作らないと死んでしまう

発明家インタビュー/市原えつこさん2

藤原
今日は、よろしくお願いします!
市原さん
よろしくお願いします。
藤原
そもそもなぜ、物作りを始めようと思ったのでしょうか?
市原さん
大学生の頃にメディアアートのゼミに入ったのがきっかけで、テクノロジーを使った作品を作るようになりました。セクハラインターフェースは、その時に作ったものです。完全に文系なので、あまり技術的な部分が得意ではないんですよ……。構想はあるけれど、自分一人では作れないので、興味を持ってくれた渡井大己さんという先輩に開発をお願いして一緒に作りました。
藤原
私は一人でバーっと作りあげてしまうのですが、市原さんは協力してくれる人を探すなど、プロジェクトとして長期的に作品を作られていますよね。作品作りのモチベーションってどこにあるのでしょうか。
市原さん
何かを作っていないと、窒息死しちゃいそうなんですよ。作品を作ることで、現実社会と自分の軋轢を解消している感覚です。ちなみに、セクハラインターフェースは、就活中に作っていました。
藤原
そのエピソード、ものすごくパンチがありますね。

発明家インタビュー/市原えつこさん3

市原さん
大学卒業後は、「クリエイターとしてやっていこう!」と思っていなかったので、就職しました。昼休みや終業後を使って自分の作品を制作していたんですけど、結構手一杯になってきて。
独立を考え始めた時、占い師に「早く独立したほうがいい。守護霊が足を折って考えさせようとしている」と言われて、聞き流していたら、本当に足を折ったんです。
藤原
スピリチュアルすぎる。
市原さん
即、会社を辞めて、今はフリーランスとして作品制作を中心に活動しています。

発明家インタビュー/市原えつこさん4

藤原
でも、社会との軋轢が創作のモチベーションになっているとしたら、会社を辞めたらアイディアが浮かばなくなるのかなと思います。私は、「友達がいない」だとか、「カップルが憎い」という憎悪から発明をしているので、もし、イケメンが常に10人くらい側にいる環境になったら、何もできなくなると思います。いや、それだったら何もできなくなっていいんですけど。
市原さん
私も最初はそれを思っていたのですが、案外大丈夫で。急に、「作ろう!」という気持ちが湧いてくるものなんですよね。

エロとテクノロジーを組み合わせること

発明家インタビュー/市原えつこさん5

市原さん
セクハラインターフェースは、大学生の当時、女性が性的な役割を演じなくてはならないというのに腹が立っていて。逆に男性を恥ずかしがらせるデバイスを作ろうと思い、考えました。
藤原
フェミニズムに関心があったのですか?
市原さん
最初は、そうだったんですけど、ずっと開発を男性と一緒にやっていたこともあり、段々と男性の考えるエロへの理解が深まって来てしまったというか。そこで、『ペッパイちゃん』や『SR×SI』という男性目線のエロを踏まえた作品も作りました。でも、セクハラ・インターフェースと同じで、実は被験者が不恰好で恥ずかしい思いをするという共通点はあるのですが。

市原えつこさんの作品『ペッパイちゃん』

『ペッパイちゃん』
Pepperの胸部についているタッチパネルに、おっぱいの画像を写した作品。タッチすると、Pepperが様々な反応をし、最終的には警報とともにTwitterに通報する。

市原えつこさんの作品『ペッパイちゃん』

『SR×SI』
VRデバイス上に、セクシーなお姉さんが映し出されており、セクハラインターフェースを触ると、お姉さんに触れているように感じる作品。被験者の興奮度によって物語が分岐する。側から見ると、大根を触りながらニヤニヤしている人にしか見えない。

藤原
センサーやPepper、VRなど、テクノロジーとエロを組み合わせた作品を多く発表されていますよね。
市原さん
エロにこだわってはいないのですが、民俗学的な部分に昔から興味があります。秘宝館があるように、昔から日本人にはエロの物作りのDNAがあるんだと思っているんですよ。
藤原
熱海の秘宝館に行ったことがあるのですが、あそこはテクノロジー×エロの宝庫ですよね。壁に近づいたらセンサーが反応してエッチな映像が流れたり、ホログラフィーを使ってあったり。
市原さん
そうなんですよ。日本人の物作りの源泉はエロにあるんじゃないかなあ。

発明家インタビュー/市原えつこさん6

藤原
市原さんの作品は、どうしてもどんよりしてしまう『性』をポップに表現されていますよね。
市原さん
メディアアートの分野は洗練されてかっこいい作品が多いのですが、こういうナンセンスなものも、あってもいいのではないかなと思っています。
藤原
作品のアイディアは常にあるのですか?
市原さん
「次はあれを作ろう」というアイディアのストックはないですね。作品自体は、外部から思いつくことが多いです。「俺ワールドだ!」って内部から湧き上がるという感じではなくて、経験や見聞からインスピレーションが湧くことが多いです。

デジタルシャーマンプロジェクト

発明家インタビュー/市原えつこさん7

藤原
そして、ちょくちょく気になっているのですが、このPepperは何なのでしょうか。
市原さん
これは、『デジタルシャーマンプロジェクト』という作品です。
藤原
シャーマンって、憑依するあれですか。
市原さん
そうです。亡くなった人の声と仕草をPepperに憑依させることができます。49日が経過すると、成仏するという仕組みです。私の祖母が亡くなり、お葬式に行ったことがトリガーとなり制作を始めました。

市原えつこさんの作品『デジタルシャーマンプロジェクト』

市原さん
葬式の仕組みにすごく感動したんです。残された人間の感情の荒ぶりを上手く鎮めるように設計されているなあと。Pepperを使ったのは、当時、Pepperのアプリの仕事をしていて、アプリを入れ替えると声や話し方が変わるんですよ。それを見て「これって憑依だ!」と思い、その2つをリンクさせました。

クリエイターが食べていける時代を目指して

発明家インタビュー/市原えつこさん8

藤原
テクノロジーを組み合わせている市原さんですが、今興味があるものって何ですか?
市原さん
今は、仮想通貨ですね。
藤原
ビットコインとかですか?
市原さん
そうです。今後は、仮想通貨がもっと流通して、お金という概念がただの数字になるんじゃないかなと思っています。「いいね!」と思ったら、お金が回って行くような経済になるかなと。そうしたら、クリエイターがもっと食べていけるようになると思うんですよ。もちろん自分自身もガッツリ食べて生きたいんですけど。
例えば親が「そんな仕事お金にならないから辞めなさい」と言って、夢を諦めるみたいなことがなくなっていくと良いですよね。

発明とは「自分が生きたい世界を生きるためのツール」

発明家インタビュー/市原えつこさん9

藤原
市原さんにとって発明とは何でしょうか?
市原さん
自分が生きたい世界を生きるためのツールです。もし、物を作っていなかったらすごくつまらない人生だったのかなと思います。 自分の思想が入った物を作る事で、自分という人間を人に説明せずとも、作品を見せるだけで理解されるのも面白いですね。私もコミュニケーションが得意じゃないので、ライフハックです。
藤原
物作りは、いつまで続けるのでしょうか。
市原さん
死ぬまでずっと続けます。発明おばあちゃんになりたいですね。
藤原
ありがとうございました!

おわりに

発明家インタビュー/市原えつこさん10

私も、SNSの普及により、クリエイターたちが食べていけるインフラが整い始めているようにも感じます。「好きなことをやって稼ぐ」という夢物語が、だんだんと現実になっているのではないでしょうか。社会で生きづらいクリエイターたちが、表現で生きていける世界が実現するのも、そう遅くはないのかもしれません。
ドバイに世界一高いビルを建てるべく、これからも無駄な発明をしていきたいと思いました。

インタビューされた人

名前 市原えつこ
プロフィール

アーティスト、妄想監督。1988年、愛知県生まれ。早稲田大学文化構想学部表象メディア論系卒業。日本的な文化・習慣・信仰を独自の観点で読み解き、テクノロジーを用いて新しい切り口を示す作品を制作する。アートの文脈を知らない人も広く楽しめる作品性から、国内の新聞・テレビ・Web媒体、海外雑誌等、多様なメディアに取り上げられている。

Webサイト http://etsuko-ichihara.com/

撮影:野口翔平

プロフィール

藤原 麻里菜
名前 藤原 麻里菜
生年月日 1993年7月20日
出身地 横浜市戸塚区出身 都内在住

2013年から、YouTubeチャンネル『無駄づくり』を開始し、無駄なものを作り続ける。ガールズバーの面接に行ったら「帰れ」と言われた。

Twitter
https://twitter.com/togenkyoo

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